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第10話 姉の机に座った妹

last update Tanggal publikasi: 2026-08-17 08:00:22

リリアナは、姉の机に座っていた。

 朝の光が東翼執務室の窓から差し込み、磨かれた机の上を白く照らしている。

 昨日までは、この光の中にエレノアがいた。

 黒や濃紺の落ち着いたドレスをまとい、背筋を伸ばし、山のような書類に目を通していた。時には羽根ペンを走らせ、時には女官へ短く指示を出し、時には王太子ユリウスの演説草稿を黙々と修正していた。

 その姿を、リリアナは何度も見たことがある。

 昔は、それを綺麗だと思った。

 姉は何でもできる。

 姉は誰からも頼られる。

 姉は王妃様に信頼され、王太子殿下の隣に立ち、父にも母にも「優秀だ」と言われる。

 だから、自分もいつかああなりたいと思った。

 けれど、いつからか違う気持ちになった。

 
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